過去ログ - 北上「離さない」
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203: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/29(月) 02:57:52.08 ID:jm3x6+HU0


当日はバスの中も、やっぱりうるさくてですね…。
私、当時はヘッドフォン派だったんですけど、それでも男子の騒ぎとかが聞こえてきて、結構イライラしてたんですよ。


“あーもう、るっさいわね…ん?笠木何やってるのあいつ…”


ケイくん、その時ぼーっと窓の外見てたんですよ。それが意外で。
割と騒ぎに混ざってそうなイメージとか、勝手に持ってたんですよね。打ち合わせとかは結構グイグイ来てましたし。

それで現地に到着して、何となくその時の事聞いてみたんです。


「笠木くん、さっきバスで何見てたの?」
「ん?ああ、川本か。何って空だよ、空。」
「へ?空?」
「そう。天気雨っぽい雲とかねえかなーって。」
「予報は晴れだけど?」
「アテになんない。ここらの天気は変わりやすいんだよ。」


何言ってんのこいつ?って思いましたよ。
それで飯盒炊爨の準備に入ったんですけど、まさかの事態が起きましたね。


「川本、ちょっと手伝って。」
「何するのよ。」
「火をガードする。」


ケイくんが天幕張るぞ!っていきなり言い出して、頭おかしいんじゃないとか思いながら手伝ったんです。
で、いざ張ったら5分もしないうちに……


「雨だ……。」
「だから言ったでしょ?湿度が変わったからな。」
「はー…君、すごいわね…。」


調理組は水道の所でやってたんで、天幕の下は二人だけ。
でもお互い無関心な感じで、ぼーっと雨を眺めてました。


「長いわねー。」
「長いな。」


会話とか全く無いですよ、本当。
喋れないじゃなく、お互い喋る事無いみたいな。

それでしばらくしたら……


「川本、そろそろ止む。」
「あ、虹だ…。」
「すごいでしょ、こりゃ一級品だよ。 さーてそろそろもどあつぅ!?」
「大丈夫!?」


ケイくん、ジャージの裾まくって履いてたんです。それで炭が跳ねちゃって、カスがふくらはぎに直撃。
火傷自体はしてなかったんで、何やってんのよって思いましたね。


「まぁアレだ、これもアウトドアの味ってやつだ…。」
「涙目隠せてないわよ。大体、こんなの卓上コンロで良いと思うわ。」
「ロマンのわかんねえ奴ー。コンロってのはさ、一人キャンプで使うもんなんだよ。手鍋でチャルメラ啜ってさ。」
「へ?一人でやるの?」
「たまにね。近所の無料キャンプ場使って。」


変な奴って印象は、余計強くなる一方でしたよ。

その頃の私は、機械工学一辺倒。
そういうのは無駄ぐらいに思ってたんで、理解出来なかったんですよね。

その後他の3人も来て、カレー作りも始まって……そこからは、ケイくんとは全然話しませんでした。
と言うか、グループの中でも私は喋らなかったんですけど。

…今思うと、ばかだったなー、なんて。





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