過去ログ - 北上「離さない」
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239: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/09/06(火) 01:19:01.79 ID:0cI4rqiK0


3年前。7月5日、時刻0730。
陸軍臨時前線基地、医療班テント。

××町を襲撃した未確認生物は撤退が確認され、作戦は救出と捜索を主としたものに切り替えられていた。

テント内は、交戦時に負傷した兵でごった返している。
そして患者に住民の姿は無く、それが絶望的な現実を医療班に告げていた。

テントの外へ呼び出しが掛かれば、それは住民発見の合図。
しかし医師達を待っているのは、発見、回収された遺体の死亡確認のみだった。

辛うじて人の頭であるとわかるもの。
逆に、胴体以外全てが吹き飛んだもの。
或いは担架に人間状に広げられた、もはや性別すら不明な肉塊。

それら一人一人の心肺停止者に、自らの検死と言う、法的な死亡確認の烙印を押す。
それがこの時彼らが住民に対して行えた、唯一の医療行為だった。

そんな最中、医療班に一つの無線が入る。


『医療班聞こえとるか!?こちら第一救出部隊、田村アカネ軍曹!生存者発見や!』
「本当か田村軍曹!容体は!?」
『被害者は10代女性!肩部から胸部に掛けて外傷あり!意識あり!でも錯乱しとる!出血酷しや!
学生証にO型って書いとる!錯乱しとるから鎮静剤も頼むわ!』
「了解した!他に生存者はいないか!家族は!?」
『他は……他は、全員心肺停止状態や!生存者の救出の後搬出するで!』
「……わかった!助けられるだけ助けるぞ!慎重に運んでくれ!」


発見された少女は輸血と応急処置を受け、すぐさま隣町の救急病院へと搬送された。
搬送時、肩からの出血とは別に、少女の衣服は大量の血液で汚れていたと言う。





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