305: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/09/23(金) 03:34:37.34 ID:Rct3VYEP0
「ねー。それでケイちゃんさ…」
1月4日。
とあるサービスエリアに、一台の車が停まっている。
持ち主である北上は長めの休憩がてら、友人と電話をしているようだ。
「前に大井っち言ってたっしょ?押してダメなら引いてみろってさー。
ちょっと距離置いたら、確かに落ち着かなそうだったよ。ほんと大井っち様々だねー。」
『ケイ君、なんだかんだで北上さんに敬意を持ちすぎてるフシがありますからね。ちゃんと女の子だ!ってわからせないと。
例の子よりは北上さんの方が長く一緒にいるんですし、過ごした時間は重いはずですから。苦肉の策ですけどね。』
「…まあね。ちょっと寂しそうだったよー…アタシもね。」
『ふふ、妬けちゃいますね。
でも彼、いい子じゃないですか。北上さんを任せられるくらい。』
「あはは、そゆこと言ってるからレズだって誤解されちゃうんだよー。最近大井っちはどうなのさ?順調?」
『彼ですか?相変わらずですね。たまにキツく当たっちゃう時もありますけど…』
「いいなー。そう言えばこないだ演習の時、まさにご本人から聞いたよー?
私を裏切ったら海に沈めるけどね…って言われたってさー。ロマンだねー、しびれるねー。」
『あー…あの人覚えてたんですか…酔ってたと思ったのに……。ま、まあ、それだけ大事って事です。』
「ひゅー、ご馳走様。」
北上にとっての親友であり、良き相談相手でもある大井は、艦娘の中で唯一、北上の一部の過去を知っている。
彼女が深海棲艦に襲われた街の、生き残りである事。その一点のみを。
故に北上の幸せを願い、親身に相談にも乗っていた。
しかし大井は、それ以上は何も知らない。
事件より遥か以前から、ケイと北上には繋がりがある事も。
北上が心の奥底に、大井が思う以上の澱みを抱えている事も。
何も知らずに、それは親身にアドバイスをしていたのであった。
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