過去ログ - 北上「離さない」
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309: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/09/23(金) 03:44:22.32 ID:Rct3VYEP0


「それじゃ、休みの間の流れはこんな感じで。」
「了解。妖精達も馴染みだし、後は任せて。ゆっくりしてきなさい。」


明石への引き継ぎを終え、遂に冬休みの始まりだ。
その後各々自室にて準備をし、21時過ぎ、夜行バスの出る駅前に向けて二人はタクシーを取った。

駅前に着き少し歩けば、人も疎らな深夜バスの停留所がある。
自販機のホットレモンをカイロ代わりに、二人はバスが来るのを待っていた。

ケイは片手にペットボトルを持ち、空いている片手は上着のポケットに突っ込んだまま。
そんな様子を見て夕張は、はぁ、と手を暖めるフリをして、白い息を吐き出していた。


“繋げばあったかいよ、なーんてね。言えたらいいのに。
……北上さんなら、こういう時言えるのかな。”


雪の無い、冬の夜だ。

遠くの車や風の音もやけに澄んで聞こえ、オレンジの街灯に照らされる景色は、妙に輪郭の濃さを増している様に見えた。

隣を見れば、ケイも同じ様に輪郭を濃くした様に見えて。
夕張の目には、彼も含めたその景色全てが、どこか遠くの事のように映った。

ふたりは、待合所のベンチに腰掛けている。
触れそうで触れない、20cmの距離。

手を伸ばしても、どこまでも空を切りそうだ。

そんな風に思えて、また一つ、ほう、と掌に息を吹きかける。



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