過去ログ - 北上「離さない」
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358: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/10/06(木) 05:20:19.28 ID:FtLTPb5v0

苦痛が引き、少し冷静さを取り戻した時。
彼女は何となくだが、先程の幻の正体を理解した。


僅かに残った、良心。
或いは、傷を負う前の自分なのだと。


“ははは……アタシ、バカみたいじゃん……。
あいつの…いや、アタシの言う通りだ…ケイちゃんは誰のでもないし、選ぶ権利だってあるもんね……。
なのに独り占めしようとして、せっかくできた友達だって目の敵にして…。

ああ、でも…そしたら何にも無いよ。
アタシにはもう、何も無い……。

間違ってるのかな……アタシは、誰も好きになっちゃいけないの…?
それでも、アタシは……どうしても……これ以上は、アタシはもう……。

ケイちゃん……君じゃなきゃヤだよ。寂しいよ。
ずっと、アタシのそばにいてよ……。”


ぽろぽろとこぼれる涙は、まるで彼女の狂気が、剥がれ落ちていくかの様で。
そうして露わになる心は、痩せ細り、包帯まみれになった血塗れのものだった。

狂気すら消え失せ、殺意も憎悪も剥がれ落ちた心。
そこにあるのは、果たして正常な心か否か。

狂気すら自覚して尚も、止められない何かか。

この瞬間、一人の狂人が消え。
そして、新たな何かが生まれた。

今、彼女の目の前に広がるのは。
囚われていた、どどめ色のまだら模様では無い。


そこにあったのは、どこまでも、どこまでも先の見えない。




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