377: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/10/27(木) 03:27:37.56 ID:3g77v1CF0
「……何があったんですか?黙ってちゃわかりませんよ。」
息を荒げながらも、彼の目は鋭く北上を射抜いていた。
北上ははだけたパーカーも直さず、床にへたり込み、呆然とケイを見つめている。
やがて一つ二つと、彼女の瞳からは雫が落ち。
「ユウさん!待ってください!」
何も言わず、北上は工廠から走り去った。
ケイは後を追おうとするが、向き直った北上は手を前に出し。
ようやく、声を発した。
「……来ないで。お願いだから。明日には、またいつものアタシに戻るから……じゃあね。」
そう笑う北上の顔は、まるで色を失ったかに見えて。
足を止めた彼はそれ以上、彼女を追う事が出来なかった。
走り去る背中を、呆然と見つめたまま。
やがて、その姿は彼の視界から消えていた。
夜闇の奥へと、吸い寄せられたかのように。
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