492: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/02/25(土) 03:47:55.76 ID:qVzOFIDxO
「メロンちゃん、ラーメン食い行かへん?」
北上達が出発した日の事、龍驤は夕張にこんな誘いをかけていた。
彼女は全てを察していたが、そこに敢えて触れずにいた。
夕張が話せるようになるまでは、少しでも励ましてやりたいと。そう思っての、外出の誘いだった。
元気よく行きます!と答えはしたものの、夕張の目は、やはりどこか空虚だ。
それを切なげに見守りつつ、龍驤は駐車場へと夕張を招く。
真昼の駐車場は、よく日が当たる。
春の陽気に目を細めつつ、二人は龍驤の車が停められている区画へと向かう。
その時の事だ。
ふと遠くを見た龍驤が、何故か違和感を感じていたのは。
「んー?なあメロンちゃん、何か変やない?」
「どうかしました?」
「いや、何か足りひんなぁって…まぁ今実家行っとる子も多いし、車出てるせいやと思うけど…。
……ん?なあなあ、北上の車ってどこ停めてあったっけ?」
「確か…あの奥の区画でしたね。日が当たると車暑くなるからー、って、わざわざあそこ選んだんですよ。」
「……!?」
指差された方角を目にした時、龍驤に電流が走った。
龍驤は奥の方へ駆け出し、慌てて夕張もそこに着いていく。
一体どうしたのか?
ある程度奥へ近付くと、龍驤は急に立ち止まり、そして唖然とした顔を浮かべていた。
「急にどうしたんですか?」
「………なぁ。何で北上の車、無いん?」
そこで彼女が目にしたのは、北上と書かれた看板だけを残す、空の区画のみ。
龍驤を襲っていた嫌な予感は、この時確信へと変わった。
彼女は、駐車場の管理棟へと走る。
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