過去ログ - 北上「離さない」
1- 20
517: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/03(金) 02:01:33.06 ID:R10vLyUC0


「……みんなの最期、教えてあげるね。
下の壁が赤かったのはねー…お父さんとお母さんが、半分吹っ飛んでへばり付いた跡なの。
コウちゃんはアタシを守ろうとして…頭、ほとんど吹っ飛ばされちゃったんだー…それもあの壁に飛び散ったと思う。

霊安室で対面したらさ…ゴミみたいに死体袋に入ってて、すごい冷たかった。
ずっと冷たいし、痛いんだよ……ほら、本当のアタシを見せてあげる。」


はだけた上の服を脱いで、ブラも外して。
『こいつ』を覆い隠すものは、もう何も無い。

下着着けとくだけでも、ぱっと見の印象は違うんだ。
それでも人からしたら不細工なものだろうけど、まだ多少のごまかしは効く。
でも上裸になれば、もうそんなまやかしも効かない。
彼の前に晒されたアタシの傷は、一体どんな風に見えているんだろう。

ケイちゃんの目から、薄く涙が伝って行くのが見えた。
……きっと、怖いんだろうな。

アタシはそれを、ぺろりと舐め取って。それすら自分の肌より暖かく感じて。
縋り付くように、彼の胸元にのしかかる。


「………大好きだよ、ケイちゃん。もう、離さないから。」


のしかかったまま、胸元に彼の頭を抱く。
否応無しに彼の頬に傷も触れて、それは一体どんな感触なんだろう。
このケロイドの感触は、バケモノに抱かれているような心地なんだろうか。

興奮も欲望も、彼が抱いている気配は無い。
ただ、アタシの胸元を濡らす涙の感触が。




あったかくて、とても痛かった。







<<前のレス[*]次のレス[#]>>
644Res/552.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice