519: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/03(金) 02:05:22.22 ID:R10vLyUC0
「……メロンちゃん、ここはまだ序の口や。
そろそろ曲がる。そしたらほんまの修羅場や。」
国道から住宅地へと曲がり、そこには多数の廃墟が広がっていた。
先ほど以上に傷んだ家が多く、どこも玄関先には真新しい花や、腐って風化した花。
それらの供え物の多さが、この街でどれだけの命が奪われて行ったのかを、雄弁に物語っていた。
「うちの部隊が救助向かった時な、そこらに死体が転がっとったよ。
肩から上ない女の子、無駄に噛み砕かれたおっさん…でもあいつら、人肉食自体はせえへん。
何でそないな事したか言うたら…鹵獲した奴尋問したら、答えたわ。楽しいからやて。
勝って終戦こそしたけど、今でもハラワタ煮えくり返るわ…まぁ、あくまで『戦争に勝っただけ』やしな。
奪われたモンや遺されたモンの心は、何も癒えとらん。北上がええ例や。」
「…私が北上さんと同じ境遇だったら、同じ事をしてたかもしれません。
まともでいられる自信は…私も、ありませんから。」
「…………ああ、うちもや。
あいつの部屋にあった写真、見たやろ?今も苦しんどるんかもしれんな。」
北上の部屋にあった、大量のダーツが刺さった写真。
それを見た時。夕張の脳裏には、彼女と北上が共通して好きな、とあるバンドの楽曲が過っていた。
そして北上の意思も、何となくではあるが、彼女はそれらから感じ取っていた。
北上の真の狙いは、恐らく今起こっている事態の先にあると。
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