546: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/17(金) 07:08:36.67 ID:rK0IdAJTO
夕張達が辿り着いたのは、広大な倉庫だった。
一段毎に荷役パレットに積まれた段ボールが、未だに堆く壁を成しているその場所は、何処からでも攻撃が来る危険性を感じさせる。
龍驤の銃は先程と違い、ホルスターではなく常時右手に。
一方夕張は、未だに銃を抜けずにいた。
「乾物も色々作っとったらしいな…メロンちゃん、警戒せえよ。どっから段ボールブチ抜いて来るかわからん。」
彼女達の足音は、抑えても固い床では否応無しに響く。
北上はその位置を探りながら、とある袋をナイフで開けては、ひたすら大型の段ボールに中身を入れていた。
北上は黒のセットアップを纏い、自身の姿を隠す為の対策は施していた。
彼女のいる場所は、夕張達からは見えない位置。
ましてや二人が予測するような、段ボールの陰ですらない。
龍驤は、艦娘としても提督代理を務められるスキルを持つ手練れだ。
戦況分析や咄嗟の判断力、そして陸軍時代にこなした数々の訓練。その存在は、夕張にとっては頼もしいものだろう。
それは北上にとっても例外ではなく、演習で敵に回った時は、出し抜かれる場面も多々あった。
だが北上は、こう考えていた。
“戦場に慣れている分、無意識のセオリーがあるはずだと。”
例えば直接攻撃、不意打ち。それらについては見抜かれる。
では、兵器でない物での攻撃はどうか?
缶の強化を得ている今の自分なら、この高さでも平気なはずだ。
飛び降りて一瞬、その隙を狙う。
北上がひたすらその何かを入れている段ボールには、こう書かれている。
『業務用薄切りかつお節1kg×20袋入』と。
北上は今、段ボールの山に隠れた、細く張り巡らされた中二階にいる。
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