560: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/18(土) 06:15:51.99 ID:RR9qieOQO
「……………っ!」
「待ってたよー、夕張ちゃん……ここ、いいっしょー?映画のラストシーンみたいだよねー。
まー…かつお節なんてトラップに引っかかるマヌケどもで、拍子抜けしちゃったけどさー…あれ?そう言えば龍驤さんいないねぇ?どこ行ったのさー?」
北上は、そうわざとらしく下卑た笑みを浮かべてみせた。
ギリギリと鳴る、奥歯の軋み。夕張は自身の頭蓋骨の中で、その音が激しく鳴らされたのを感じている。
「……あなたが、段ボールの下敷きにさせたんじゃないですか。」
「おー、おっかないねぇ。可愛い顔が台無しだよ?」
「北上さん……いや、岩代ユウ!!
…あなたがケイくんの幼馴染だって事は、根拠は揃ってるんです…何でこんな事を…!」
「……っ!
…まー、ここにいるって事は、あたしの正体に気付いてたって事だと思ってたけどさ…龍驤さんかな?目敏いもんねー。
ふふ……これ見てよー…良い指輪っしょー?」
そう突き付けられた北上の左薬指には、赤い切り傷。
それを恍惚とした顔で舐め上げる北上の顔を見た時、夕張の背筋には例え難い戦慄が駆け抜けて行った。
「ケイちゃんにもさー、同じのあげたんだー…あ、もちろんアタシのは、ケイちゃんにもらったんだよ?ナイフ握ってもらってさ。
赤い糸ってさ、あるんだねー…こう、薬指同士の血が繋がってさー……。
ふふ、綺麗だったよー、アタシとケイちゃん以外、誰も繋がってない……そう、アタシとケイちゃん以外、要らないんだ…。」
「質問に答えなさい……言え!何でケイくんが好きなのにこんな事をした!!」
「えー?教える義理なんて無いよー…。
そうだねぇ、強いて言うなら………ずーっと、邪魔だったんだよねー…あんたの事がさぁ!!」
衝撃が夕張の頬を駆け抜けて行ったのは、直後の事だった。
あっという間に近付かれた彼女は、北上の拳をその体に受けていたのだ。
朦朧とする意識の中、彼女の口の中を鉄の味が支配していく。
そして北上は彼女の足を掴み、その体を違う方へと投げ飛ばした。
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