572: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 19:46:07.47 ID:/3r4W0zuO
二人が倉庫で戦いを繰り広げる中、その屋外では、激しい風が吹いていた。
荒涼としたこの土地で吹く風は、冷たい。
荒れ果てた社屋の外には、かつて北上の弟が使っていたサッカーボールが転がっていた。
573: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 19:47:20.97 ID:/3r4W0zuO
「うっ…………!」
咆哮の直後には、既に夕張の襟に両手が掛かっていた。
574: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 19:50:02.88 ID:/3r4W0zuO
アタシが例のレ級とやりあった時さ、「思い出せ」って頭ん中で声がしたんだ……アタシの声でね。
それで思い出したんだよ、アタシの家族を殺したのがあいつだった事も……ついでに、アタシがあの時何をしたのかも。全部ね。
弟が頭撃ち抜かれて、あいつの尻尾が向かってった所で途切れてたんだ。
575: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 19:52:08.03 ID:/3r4W0zuO
「整備くん、今日冷えるねー。」
「まだ梅雨前ですからね。」
「………えいっ。」
576: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 19:54:08.84 ID:/3r4W0zuO
レ級とやり合う前の夜ね、アタシ、ケイちゃんの事襲っちゃったんだ。
意識もボーッとしててさ、ケイちゃんに止められて…やっと正気になった。
その時思ったんだ。
577: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 19:56:04.17 ID:/3r4W0zuO
人間ってさ、お皿と一緒なんだよ。
一度割れたら、二度と元には戻れない。
それはアタシがどれだけ狂ってるって自覚したって、もう覆らないんだ。
578: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 19:58:09.88 ID:/3r4W0zuO
「どう?これでわかったっしょ?」
579: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 20:00:23.21 ID:/3r4W0zuO
『パンッ!』
580: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 20:02:32.94 ID:/3r4W0zuO
直後、拳銃が遠くへと投げ捨てられた。
北上のサバイバルナイフも砕け、自決する為の道具はもう無いように見える。
だが北上は、隠されたもう一つの武器の存在を察している。
581: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/21(火) 20:03:09.31 ID:/3r4W0zuO
今回の投下は以上となります。
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