617: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/28(火) 03:42:34.21 ID:T7wuw/an0
「疲れてもうたわー、うちら先帰るで?また鎮守府でな。」
「じゃあみんな、帰ってきたら焼肉行くわよ!祝賀会ってね!」
「うん!楽しみにしてるよー。」
「あ、ユウ。キミは帰って来たら、しばらくうちのマッサージ機やからな…?ぶつけた頭痛いわー。」
「あははは……ア、アカネさん、ごめんなさい……。」
車は荒れた街を離れ、途中にある休憩ゾーンへと停まった。
自販機でコーヒーを買い、龍驤はそれを片手にタバコに火をつける。
問題児達の後始末も付き、彼女にとってもようやくの一息だ。
一方、助手席の夕張は。
「どないしたー?えらいたそがれてまぁ。」
「いえ…負けたなーって……もう、あんな見せ付けちゃって…。」
「メロンちゃん…?」
そう微笑みながら、窓の外を見つめる夕張。
だがその頬を、涙が伝っていた。
龍驤は肩へと伸ばし掛けた手を止め、じっと彼女の言葉を聴いている。
「ほんと、清々しいぐらいの振られっぷりですよ…。
終わっちゃったなーって…ほんとあいつら……幸せにならなきゃ、許さないんだから……!」
「ミユ…おいで?」
「………アカネさん…ひっ……ぐすっ……。」
「大丈夫やて…キミならまた、ええ恋出来る。失恋は女を磨くチャンスや。
キミはええ子や…だから今は、思いっきり泣き。」
「ぐすっ……ありがとう、ございます……。」
そう子供のように泣きじゃくる彼女を、龍驤は優しく撫でていた。
夕張もまた、ようやく恋の終わりを受け入れる事が出来た。
そして彼女は恋と引き換えに、かけがえの無いものを得た。
この日。
彼女は恋のライバルを失い、そしてユウと言う名の親友を得たのであった。
“ほんま、あいつら幸せにならんとこの子にイワされてまうで……。
ん?そう言えば、何か忘れとるような……?”
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