88: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/07/18(月) 04:58:49.42 ID:7pBs7sNMO
「久しぶりだね…ケイタロウくん。」
余りにも予想外の事態に、ケイは驚愕を隠せずにいた。
そうだ、言われてみれば確かにうっすらと声は覚えがある。
だが、余りにも目の前の存在は、記憶の中のそれとは別人に思えた。
そもそも元の目付きも眼鏡に阻まれてわかりにくい物であったし、第一少し太めだった覚えがある。
目立たなかった彼女と言葉を交わしたのは、学生時代はそれこそ何度あったのか。
現実と過去が交互に入れ替わり、彼の中ではもはや何がどうなっているのかすら思考する事が出来ずにいた。
「本当に、__なのか…?」
「嘘じゃないわよ。
でも…そうね、苗字で呼ばれるのは好きじゃないの。“ミユ”で覚えておいて。それが下の名前よ。
今まで通りバリさんでもいいし。」
「あ、ああ…。」
「ふふ、驚いた?いつ気付くかなーって思ってたんだけど…あの頃は、あんまり絡み無かったもんね。
まあ、だからと言って何が変わるでもなし!今まで通りよろしくね!」
「そうだな…バリさん、改めてよろしく頼むよ。
…しかし驚いたなぁ、人って変わるもんだわ。だってあの時のバリさん、ぶっちゃけデb…」
「…ドラム缶でぶっ飛ばされたい?それともセメント風呂?ん?」
「…何も言っておりません。はい。」
意外すぎる事実に面食らいはしたものの、平静を取り戻したケイは、ようやく事実を受け入れられた。
昔は縁が薄かったとは言え、むしろこれは、より良い工廠を作るにはいい事ではないか。
同郷にして同世代だ、育ちが近い故に取れる連携もあるだろう。
そう考え、彼は特に何が変わるでも無いと捉える事とした。
一方夕張はと言えば、全く違う事を考えていたのだが。
644Res/552.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。