92: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/07/18(月) 05:06:18.23 ID:7pBs7sNMO
“そっか、部屋まで来ちゃったんだ…アタシでさえまだなのに。”
さすがに彼の自室を訪ねるのには、立場もあってか未だに気が引けていた。
しかし同じ部署の夕張であれば、周りも余り気にしないのだろう。
不意に布団を掴む手が強まったのを、彼女は気付かないフリをしていた。
『はは、返す言葉も無いですわ…あと、衝撃の事実判明です。』
『どったの?』
『バリさん、何と高校の同級生だったんですよ。
見た目もイメージも変わり過ぎてて、俺全然気付かなかったですよ。彼女、昔は太ってましたし。
いやー、何とも不思議なもんですわ。』
『マジで!?』
その瞬間、北上の中で全ての線が繋がった。
ふと冷静になった時、度々彼女自身もおかしいと思っていたのだ。
何故自分は、ケイにちょっかいをかけた訳でも無いたかが新人に、着任前からあそこまで嫉妬していたのかと。
寧ろ彼の負担を減らしてくれる、有り難い存在ですらあるのだ。
そうだ、確かに構ってもらえなくなる不安はあったが、それでも自分の行動は度を超えていた。
しかしそれらの物事の理由も、今なら北上には理解出来る。
それこそ着任の話を聞いた時から、今まであまり信じていなかった、女の勘と言うものが働いていたのだ。
“間違いなく、その女はケイを奪いにくる”と。
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