3:名無しNIPPER[sage saga]
2016/07/06(水) 18:37:00.41 ID:ECZ8fCjJo
憂「えっ?」
唯『それは無理して言わなくてもいいよ。無理してないんなら聞くけど、その、私に気を遣って言おうとしてるんなら、大丈夫だから』
びっくりして、言葉を失った。
確かに私は、お姉ちゃんと別の道を選んだことで落ち込ませてしまった後ろめたさから、理由を言おうとしていたのだから。
それが私の、お姉ちゃんに大事に思われている妹としての義務だと思っていたから。
とはいえ、無理して言おうとしたわけでもない。自分の事を語るのはちょっと恥ずかしいけど、それくらい。
自分の事。
そう、お姉ちゃんの後を追って入った軽音部での事。
軽音部で、新入部員でありながら先輩でもあるという不思議な立場で過ごし、思った事。
可愛い後輩に慕われ、思った事。
それが、私の進路を決める何よりの一手になった。
憂「……あのね、お姉ちゃん」
ずっとお姉ちゃんの背中を見て育ってきた私が、初めて誰かにその背中を見られ、慕われて思った事。知った事。
それは。
……先に立つ人は、言うほど後に続く人に追いつかれまいと頑張っているわけではないという事。むしろ追いつかれたいと思ってる部分もある事。
……そもそも多くの人は、先に立つ人の背中を追っているうちに、自分もその立場になってしまっていただけ、という事。
そして、自分の背中を追ってくれる人との別れは、絶対に寂しいものではないのだ。
だって、自分の背中を追ってくれる限り、またすぐに会えるのだから。どうせすぐに追いつかれるのだから。
憂「もしかしたら私、卒業式では泣かないかもしれないよ」
私より先に後輩が泣いてくれたら、もしかしたら私は泣かないかもしれない。
またすぐに会えるんだから泣かないでと、笑顔でそう言うかもしれない。
憂「お姉ちゃんが泣かなかったみたいに」
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