過去ログ - ウサミン星は黄昏の向こう側に……
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67:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:12:56.44 ID:J1CUF4/Ho
先輩は、安部さんが部屋から出て行ったのを見計らって、僕のほうに近づいてきた。
「なあ、あの人って本当は何歳なんだ?」
「本人が17歳って言ってましたし、17歳じゃないんですか……?」
68:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:14:19.32 ID:J1CUF4/Ho
君、ちょっと来てくれないか?」
珍しく出社していた社長に呼び出されて、社長室に入るとそこにムスッとしたいかにも不機嫌そうな一人の女の子が待っていた。
確かその女の子の名前は池袋晶葉、サイエンス誌でロボット工学の天才だと紹介された少女だ。
69:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:15:39.78 ID:J1CUF4/Ho
「あの、池袋さん……。ちょっと質問が……」
「晶葉で構わん」
晶葉の表情はどこか悲しげで、晶葉の目は僕を見ているようで僕を見ていなかったような、そんな気がした。
70:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:16:35.22 ID:J1CUF4/Ho
「じゃあ、質問を変えるよ。君は僕の事を知っている?」
「知っているよ。助手はあの男の息子なんだからな」
あの男というのは、僕の父親のことだ。僕の父親は世界的に有名な物理学者で、確か今は量子力学について研究しているらしい。
71:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:17:10.78 ID:J1CUF4/Ho
「とりあえず、これから頼むぞ。助手よ」
晶葉は僕の前に手を差し出したので、僕も反対の手を差し出して固い握手を交わした。
「よろしく。晶葉」
72:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:18:06.71 ID:J1CUF4/Ho
翌日、池袋晶葉がうちのアイドルに転身したというニュースが朝の新聞の一面を飾り、事務所には、日本だけでなく海外の記者が大勢詰め寄せ、事務所に警察が出動する事態にまで発展した。
同日の夕方、晶葉による記者会見が行われることになり晶葉は、何故アイドルになろうと思ったという問いに対し、
「沢山の人と触れ合う事で、より人の事を知り、それをロボットのAIに活かすためだ」と回答した。
73:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:18:44.48 ID:J1CUF4/Ho
「おはよう」
事務所の人間の視線が一斉に晶葉のもとに集中した。
それは怨嗟や困惑など色々な負の感情が混ざり合った視線だが、晶葉はそれを全く気にすることもなく、
74:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:19:33.58 ID:J1CUF4/Ho
「聞きましたよ……」
安部さんの、リボンがプルプルと震えており、安部さんは俯いているせいか、その表情が全く読み取れなかった。
「晶葉ちゃんは、もう名前で呼んでるのに、どうしてナナの事だけまだ苗字なんですかっ!」
75:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:20:33.47 ID:J1CUF4/Ho
「分かりました。これからは菜々さんとお呼びします」
「敬語も禁止っ! あと、ナナのことは菜々さんじゃなくてナナって呼んでください!」
晶葉はまだ年齢的に、妹くらいだから問題ないが、菜々さんはもう大人の女性手前だから呼び捨てにするのは恥かしいからと言うと、
76:ID:HHSaYSCro ◆I1Wa2KzSPuqk[saga]
2016/07/11(月) 17:21:24.10 ID:J1CUF4/Ho
「さて、戦場に戻りますかねぇ……」
いまだ、鳴り止まぬ電話と奮闘する社員と、積み重なっていくとんでもない仕事量を前に僕は覚悟を決めた。
きっと、今日は徹夜だ……。
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