過去ログ - 佐久間まゆ「私の灰かぶり」
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3:名無しNIPPER[saga]
2016/07/07(木) 20:33:38.08 ID:Mi73gln00
何本目かのタバコに火をつけようとした時にトントンとドアを叩く音をして彼女の声が聞こえた。ドアが開き彼女が入ってくる。
「プロデューサーさん。タバコはよくないって。まゆ、前に言いましたよねぇ」
 手の中にあるタバコの箱の角が潰れた。まゆはいつものように俺の目の前に座る。
「まゆ、女優の仕事は始めてだったけど頑張りましたから」
「お疲れさま」
俺はいつものようにまゆを誉めることができなかった。
「どうしたんですかぁ?」
「いや、なんでもない」
まゆの甘い声は今は腹立たしい。
「じゃあ帰りましょうか。まゆ、お腹すいちゃいましたから」
「役者同士で食事に行けばいいんじゃないか?」
「まゆの相手の役者さん。この後仕事があるみたいで。多忙な人ですから」
含みのある言い方が少し癪に触ったが一々言う気分ではなった。
「そうか。じゃあ事務所のカフェテラスでゆっくり休もう。ここはタバコの煙でいっぱいだしな」
「はい」
 まゆは大人しくついてきた。そしていつものように車の助手席に座っていた。俺はいつものようにCDを掛けなかった。俺はいつものようにまゆに仕事の感想を聞かなかった。まゆはなにも言わなかった。


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