13:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 01:11:04.69 ID:Px08eZlJ0
☆
彼の皮肉と自虐と、さらに濁った不純物が含まれていたせいでそれはとても不透明だった。
なんだかこっちがたまらなく恥ずかしくなってくる。いくらなんでもらしくないにも程がある。
何が彼をここまで変にしているのだろう。
彼氏が出来たとか言ったからかな。人妻が好きなのか。
それとも思春期でも遅れて来たのかもしれない。
どちらにせよ劣情をこっちにぶつけてもらっても困るけれど。
頭の中で冗談を転がしても生温い空気は体を離してはくれなくて、誤魔化すことはできなかった。
「うさぎ、汚れてるぞ」
「知ってる、おしぼり貸してよ」
「お前の目の前にあるだろ」
スプーンをおいて、おしぼりでうさぎを拭く。
パフェでお腹はいっぱいになってしまったし、今度はココアを頼むことにした。口直しに必要な犠牲だった。
「恋愛相談」
一拍。息を吸う。
「プロデューサーも、結婚できなかったら相談してね」
妙な空気にさせられた仕返しのつもりで、プロデューサーとも久々に呼んでやる。
今度は彼が苦いものを噛んだような顔でこちらを見た。
嫌がらせは成功したのかもしれないけど、空気はどんどん変になっていくし、言わなきゃ良かったと後悔した。
でも、こんな雰囲気にしたのは彼が原因だ。つまり、杏は何も悪くない。
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