過去ログ - 双葉杏「色の無い水槽」
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2:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 23:55:04.17 ID:VIewv/f70

彼女の褒め言葉はたくさん出てくる。そして、悪口も負けないくらいに出てくる。
その中には僕の穿った観点から生まれるものもあるが、一つだけ確かなのは、仕事に関して彼女はあまりにも不誠実だったということだ。

「怠けたい」から始まる矛盾した彼女の仕事への動機は、彼女を頑張らせれば頑張らす程に楔を打ち込んでくる。
いくら僕が奮い立たせようとも、風になびくように彼女は躱す。それでいてアイドルとしての才能はピカイチだからたちが悪い。

新米の僕にとって、彼女をプロデュースすることは水を手で掬うのと同じだった。
そして当然、僕の隙間だらけの手のひらから彼女はしくしくと溢れていった。


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