36:名無しNIPPER[sage]
2016/07/14(木) 21:57:19.34 ID:9Y3+pWvQo
こうして俺の果てのない旅は始まった。
一日前に戻った俺は手当たり次第に自分の知る歴史を変えていった。
幸いにもこの装置は一秒ずつ戻ってくれる。過去に何をやったかを再体験することが出来たので
前回と同じことをするということはなかった。
原因は全くわからない。晶葉の言う通り、生まれた事とのみ繋がっているのかもしれない。
だけどもしかしたら風が吹けば桶屋が儲かるのように
一見何ら関係ないような繋がりに見えても、実は繋がっていたというものがあるかもしれない。
ただそれをひたすら探す旅だ。
戻り、別行動をし、雪美の死を見て、晶葉に協力を仰ぎ、再び戻る。
同じ日を何回も何回も。多い時は十回や二十回繰り返し、納得したらさらに一日戻る。
毎回協力してもらう晶葉には悪いが、全てを伝えているわけではない。自分が時間渡航者であることと
それを行う装置の作り方ぐらいなものだ。
原因はわかるのかと聞かれるたびに実は目処が付いていると嘘をつく。何もわからないだの
今までの全てを話せば、また協力を拒否されるかもしれないからだ。
何百回か繰り返して気付いたのは他のアイドルやあるいはちひろさんが死ぬというのがないことだ。
健康な一般人であれば、日常生活において多少の怪我や病気をすることはあっても突然死することは
ないということだ。あるいは未だ発生しないほど確率が低いか。雪美の死だけが特別なのだ。
あの日の14:50が来るたびに心の中で祈る。そして絶望する。
そのようなことを何千回と繰り返し、それでも助けることが出来ず。
時間は過去へ過去へと遡り、ついに俺はその日を迎えてしまった。
雪美と初めて会い、スカウトしたその日に。
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