12: ◆NdSwyytUJslS[saga]
2016/07/15(金) 21:24:16.81 ID:2Lq8bAWao
キーを挿しスターターを捻ると、やはり前回以上にモーターが回る音は遅く弱い。
古いエンジンとはいえ寒い時期に比べればかかりやすいはずなのだが、それでも始動は叶わなかった。
まあいい、そうじゃないかとは思っていたから充電器も積んできてある。
朝まずめの出船は諦めざるを得ないが、完全にバッテリーが死んでさえいないなら時間をかければ息を吹き返すはずだ。
誰を待たせるわけでもない。
陽が昇ればキャビンの日陰に憩い、湾内の緩い波に心地よく揺られながらうとうとするのもいい。
そうしている内にチャージもできるだろう。
「──お早いですね」
キャビンに向かって屈みこんでいた僕に、斜め後ろから声が掛けられた。
振り返ると隣の船のオーナーだろう男性が、タラップを降りてくるところだった。
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