過去ログ - モバP「一ノ瀬志希の策略とはなにか!」
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17:名無しNIPPER[saga]
2016/07/17(日) 11:20:21.55 ID:I6I8dqE4O
「キミは」

言って、汁を一口啜る。
ふぅ、と息を吐いて、一ノ瀬は続ける。

「アメリカに残るべきだー、とか、将来のためだーとか、言わないんだ」

「いわねぇよ。高校とか、いっとかないとマズいならまだしも。アメリカの研究室だろ。そこ抜けたからって将来が絶望ってわけじゃない」

高校でさえも、本人が考えに考え抜いて、それで辞めるなら俺は止めないだろう。
それが、本人の意思なのだから。
一ノ瀬志希が、一時の感情でなく、考えてそう決めたなら、それを尊重すべきだ。

「だから、あたしは戻ってきたのかも。キミが近くに居ないなんて考えられない」

「いや、お前それは言い過ぎだろ」

「いや、言い過ぎじゃないって。キミが、昔からちゃんと才能じゃなくて、一ノ瀬志希っていうパーソナリティを見てくれたから、だから、キミの近くじゃないとイヤだ」

「…………」

「お茶、入れてくる。キミもいるでしょ」

一ノ瀬は、冷蔵庫の方へと向かっていき、視界から消えた。
丁度、此処から冷蔵庫は見えない位置にある。
正直、驚いた。
あの日、ゲームをしながら言った言葉は、こういうことだったのだ。
ただ感傷的になっていたのではない、言わばあれは、確認だったのかもしれない。
俺が、一ノ瀬の事を、一ノ瀬志希という『天才』ではなく、天才である『一ノ瀬志希』として見ているかどうかの。
彼女の人生のうちに深く根ざしている天才の称号。
それは、自分自身ではないと、彼女は、暗に言ったのかもしれない。


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