6: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:35:00.23 ID:+OtJikMc0
関係ないじゃん。
そう言っちゃえば終わることなのに、なんで言えないんだろう。
なんでもやもやが晴れないんだろう。
7: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:37:10.86 ID:+OtJikMc0
「沙紀ちゃん」
突然名前を呼ばれて反射的に振り返ると、扉からひょっこり顔を出していたのはさっきまでレッスンをしていたトレーナーさんだった。
8: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:38:21.79 ID:+OtJikMc0
わかりました、そう言うとトレーナーさんは「明日また頑張りましょう」って、柔らかい笑顔をアタシに向けてきた。
割れちゃいそうなくらい膨らんでた気持ちはみるみるしぼんでいった。
「じゃあ、お疲れ様」
9: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:39:52.36 ID:+OtJikMc0
「そうですね……」
なにか言葉を探すように視線を床に落として、数秒経ったあとに目と目が合った。
10: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:41:38.77 ID:+OtJikMc0
おかしくなったきっかけははっきりしてる。
はっきりしてるんだけどどうしようもなくて、事務所のソファに意味もなく寝転がってみる。
誰かが買ってきたハート型のクッションを抱えて。
11: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:42:31.76 ID:+OtJikMc0
「なにかお悩み?」
悩みがわからなくって悩んでる、というか。
12: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:44:52.26 ID:+OtJikMc0
「こんにちは」
聞いたことがある声だなっておもってた。
13: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:46:05.58 ID:+OtJikMc0
いや、あの、知ってる、知ってるっす。
「吉岡沙紀ちゃん」
14: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:49:39.38 ID:+OtJikMc0
アイドルってものに詳しくないアタシでも、この人の名前と顔は完璧に一致する。
モデル業から歌手活動、最近ではバラエティでも見ることが多くなってきたトップアイドル。
前からプロデューサーには、運が良ければ会える、なんてレアモンスターみたいに言われてたけど、現実なんてこんなにあっけないものなのか。
15: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:51:47.19 ID:+OtJikMc0
「それで」
顔がぐいっと近づけられてにおいが強くなった。
触れたくなるくらい綺麗で白い肌に、吸い込まれそうな瞳はアタシをそこに閉じ込める。
16: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2016/07/18(月) 22:53:45.42 ID:+OtJikMc0
「大丈夫?」
どこに置くことが正解なのかわからない目線、びっしょりかいた手汗、言葉だけ健忘状態ってなんて都合のいい。
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