過去ログ - 八幡「その時には俺は死んでいた」
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1: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 22:57:33.72 ID:8sh+zRp2o
八幡「一色が死んだって……?」
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の前日譚兼後日談みたいな感じです。
あまりいい気分になる話ではありません。ご了承ください。

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2: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 22:58:03.55 ID:8sh+zRp2o
眠っているわたしの耳を、甲高い音が突き抜けた。そのあまりの大きさの音に目が覚め、反射的に身体が跳ね上がった。

「な……なに……?」

何が起こったのかもわからないわたしには、恐怖という感情が生じるよりも先に驚愕とそれまで経験したことのない違和感が頭の中を駆け巡っていた。
以下略



3: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 22:58:29.41 ID:8sh+zRp2o
――

――――

その日、俺は夜更かしをして深夜三時という草木も熟睡しているであろう時刻にも関わらず、起きていたのだ。
以下略



4: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 22:58:58.78 ID:8sh+zRp2o
震える身体と足を両手で思い切り握ってどうにか動かして、部屋を出た。

出る直前に小学校の修学旅行で買った木刀を手にする。

何をやっているんだと、自分で問い詰めたくなるが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
以下略



5: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 22:59:24.56 ID:8sh+zRp2o
刹那、足の先に異様なものが触れた。

それは液体のようで、裸足のままの足の体温を奪っていく。

しかしどうやら水ではないらしくどこかぬめりがついていた。
以下略



6: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 22:59:51.08 ID:8sh+zRp2o
年頃の女子ならば自分の部屋を開けっ放しにして眠るなんてことはしない。それは小町も例外ではない。

開けっ放しだと寒い冬の今ならなおさらだ。

なのに……。
以下略



7: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:00:16.72 ID:8sh+zRp2o
何もかもが止まったその部屋の中でただ一つだけ壊れたおもちゃのように動いているものがあった。

窓から入り込む月の光がそこにいる人間と、その下にいる『モノ』を照らす。

声も言葉も出なかった。
以下略



8: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:00:44.58 ID:8sh+zRp2o
小町の上にいる男の顔に見覚えはない。

それが逆に俺の恐怖を倍増した。

だってそうだろう。
以下略



9: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:01:44.05 ID:8sh+zRp2o
花が咲いた。

赤い花が。

その名前を俺は知らない。
以下略



10: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:02:11.50 ID:8sh+zRp2o
――

――――

小町が死んだ。
以下略



11: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:02:54.45 ID:8sh+zRp2o
「ヒヒ……ヒャヒャヒャヒャ……ッ」

「黙れよ」

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
以下略



12: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:03:33.02 ID:8sh+zRp2o
――

――――

その男があたしの元を訪れたのは、ある晴れたの日のことだった。その姿を目にした時に魔法以上の愉快は来ないなと確信した。
以下略



13: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:03:59.12 ID:8sh+zRp2o
「でもどうして……」

「平塚先生から、言伝を賜ってな。川崎があの事件の真実を知りたがっていると」

「……!」
以下略



14: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:04:26.28 ID:8sh+zRp2o
――

――――

夜が明けてからも、俺はなにもできなかった。
以下略



15: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:04:54.78 ID:8sh+zRp2o
ふとその時、携帯の着信音が耳を貫いた。それは普段よりも異様なまでに不快な音に聞こえる。

「……メール、由比ヶ浜か」

こんなことを呟いても返ってくる言葉は皆無。小町がこんなこと聞いたらどこからともなくすっ飛んできて、目を輝かせニヤニヤしながらその内容を見ようとするのに、目の前にいる小町は血だらけのままでピクリとも動かない。
以下略



16: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:05:21.30 ID:8sh+zRp2o
一歩外に出れば平和な光景が広がっている。その日常は簡単なことで崩れてしまうと知らずに。

苛立ちが胸の中に次々に募り、呼吸が乱れ始めた。

その時だった。
以下略



17: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:06:15.10 ID:8sh+zRp2o
――

――――

「……これが俺なりのあの事件の見解だ」
以下略



18: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:07:23.14 ID:8sh+zRp2o
つまり、その精神異常者の奇行に巻き込まれて比企谷の家族は彼以外皆殺しになったわけだ。しかし、それで彼が狂行に走る理由がわからない。

実の妹や親を殺されたショックで気が狂ってしまったのだろうか?

そう考えるのが一番妥当で自然だ。しかしどこか引っかかる。
以下略



19: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:07:55.13 ID:8sh+zRp2o
「あの犯行は正直に言ってしまって、八幡一人では不可能に近かった」

それは昔調べていたあたしも薄々感づいていた部分だった。いくら比企谷のことを信用していた人間が被害者であったとは言え、特に最終日の犯行はどう考えても比企谷個人で成り立つ代物ではない。

もし共犯者がいるとしたら――。
以下略



20: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:08:26.06 ID:8sh+zRp2o
話に一区切りがつくと材木座は再びコーヒーを口にする。あたしもそれを追うように自分のコーヒーカップに口をつけた。温さによる不快感が同時に時間の経過も告げていた。

もし、一色いろはが共犯者として事件に関わっていたと考えると、犯行の無理さが多少緩和される。独りで行動するよりもその幅は倍以上に広がるだろう。

ただ、一つの疑問があたしの中に浮かんでいた。
以下略



21: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/07/19(火) 23:08:51.74 ID:8sh+zRp2o
「一色いろはの友人に話を聞いたが、あまり手がかりになるものはなかった。少し話してみればすぐにわかるような印象からはみ出した内容は得られなかった」

でも、と材木座は続ける。

「ある人物から気になる話を聞いた。一色いろはの小学校の同級生の話なのだが……」
以下略



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