10:名無しNIPPER[saga]
2016/07/22(金) 22:30:01.95 ID:fILZBOzpo
そこからは止まらなかった。
涙をぼろぼろと零しながら、ただ四分間のメロディーが終わるまで立ち尽くしていた。
頼りにならない記憶が一言一句、不思議なくらいに歌詞を覚えていた。
「……パパ?」
どれくらい経ったんだろう。
乾いた目元に引っ張られるような感覚が残っていて、拭う必要はもう無かった。
足元に落ちていたイヤホンを拾い上げて、勢い良く頬を叩く。
「……何だい、樹里?」
「パパ……どこか、痛いの?」
「いいや。どこも痛くないさ」
「じゃあ、どうしてそんなに……苦しそうなの?」
俺は、昔っから馬鹿だった。
ようやく……今になって、ようやく思い出した。
俺は、大人だったんだ。
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