過去ログ - THE IDOLM@STER OVER WORLD
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名無しNIPPER
2016/07/23(土) 17:13:02.10 ID:G7thJZfF0
『声』が聞こえた。
彼の声ではない。
少年のようにも少女のようにも聞こえるその声はあまりにも澄みきっていて、それが故に不気味ですらあった。
『あの人を助けたい?』
その声は、まるで春香の頭の中を1つのホールにでもしたかのように強く反響した。
『決まってる……助けたいよ!』
それに返答するのに言葉はいらなかった。
どうやら彼(彼女)には春香の思考が伝わるらしく、話を続けた。
『あなたに力をあげる。その為なら、どんな代償も厭わない?この力はあなたを本当の意味での孤独に陥らせるかもしれない、それでもいいの?』
『プロデューサーさんが助かるなら、私がどうなろうと……どうでもいい!』
それを聞くと、彼(彼女)はクスリと笑った。
『契約は成立ね。その代わり私の願いを1つだけ叶えて貰うわ、その時までさよなら』
その声が消えると同時に、春香は我に返る。
春香の体感とは異なり、それは一瞬の出来事だったようで、プロデューサーは今まさに手をかけられんとしているところだった。
「待ちなさい!」
「なに……?立ち上がるだけの力はもう残っていないはずだが」
彼の言うとおり、春香の怪我は決して軽いものではなく、常人ならば立ち上がることは不可能なほどの痛みを伴っていた。
だが、彼女は立ち上がった。
それはプロデューサーを救いたいという意志の力でもあり、『自分が何をすればいいか』それが無意識にわかっていることの自信によるものでもあった。
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