過去ログ - モバP「お前を芸術品にしてやるよ」頼子「……」
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18: ◆3UO.XRpYJ2[saga]
2016/07/25(月) 00:44:28.64 ID:ilyuscAp0

自分でも最初に何を言おうとしたのか、オーバーヒートした頭では最早わからなかったけど、多分、今、口から出た言葉は妥協したセリフであろうことはわかった。

頼子は最初、何が起きたのかと呆けている様子だったが、僕の失敗を耳と目で感じ取ると、コロコロと、鈴のなるような声で笑った。その間、僕の体温は上がりっぱなしだった。

彼女が僕の差し出した右手を握った。依然、声を出して笑いながら。

「ええ。そうなれるように、頑張りましょう」

暖かい、左手の感触。なぜ左手なんだ。

僕の失態を笑い続ける彼女に、何かお返しをしてやりたくなった。そのためにじっと彼女の目を見つめると、予想通り彼女は笑うのを中断してこちらを不思議そうに見つめた。

「……Pさん?私の顔に、なにか……?」

「ああ、いや。改めてみると綺麗だなって。すごく綺麗だ。とっても可愛いよ」

彼女の目を見て、そう言ってやった。

見る見るうちに彼女の表情が赤く染まる。先程までの絵画のような幻想的な印象は消え去り、そこには一人の初心な少女が残った。

よし、と。笑われた仕返しはできたことを心の中で喜びつつ、なんだか僕も照れ臭くなって何も言えなくなった。

喋らない二人が、完成した。





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