過去ログ - モバP「お前を芸術品にしてやるよ」頼子「……」
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8: ◆3UO.XRpYJ2[saga]
2016/07/25(月) 00:30:54.95 ID:ilyuscAp0
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「今日は……ありがとう、ございました。私の趣味に付き合っていただいて……」

「いや、いいんですよ。僕も楽しかったですし」

僕らが美術館から出るころには、すっかり日は暮れて月が顔を出していた。もしよかったら、という僕の夕食への誘いに、彼女は二つ返事で了承してくれた。

事前に下調べしておいた、美術館にほど近いレストランは、緑に囲まれている綺麗な景観を保っていた。

きちんとした店を調べておいてよかった。満足げな彼女の表情を見ながら、ほっと一息を付いた。

「その……今日は付き合っていただいてありがとうございました」

「え?」

「殆ど、私がお話しするような形になってしまって……」

「ああ」

あれから、彼女は最後まで喋っていたし、最後まで僕は彼女の言葉を聞いていた。

その事を気にしているのだろうか、彼女は少し申し訳なさそうにそう言った。

「気にしなくていいんですよ」

「そう、ですか……?」

「ええ。僕も、古澤さんの色々な一面を見ることができて楽しかったです」

「そう、でしょうか……」

「ええ」

嘘偽りのない、正直な気持ちだった。

彼女は少しホッとしたように、出された食後の紅茶に砂糖を入れてかき混ぜた。一つ、二つ。案外甘党なのかもしれない。紅茶に入れられた三つめの砂糖なんとなく見つめながらそう思った。



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