2:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:13:13.75 ID:wRyqj+s4O
善子「私にも翼があったらいいのに・・・」
?
デートの帰り道。
バス停の近くにある小さな港で、夕焼けを二人で見ているとき。
3:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:17:00.29 ID:wRyqj+s4O
善子「あそこで呑気に飛んでるカモメを見てたら、いいなって思ったの」
梨子「確かに気持ち良さそうに飛んでるね」
今の季節、この時間帯になると海から涼しい風が吹いてきて、昼間の厳しい暑さを忘れさせてくれます。
4:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:20:03.39 ID:wRyqj+s4O
善子「けれど、美しさのあまりに私は神の怒りに触れ、ゼウスの雷に焼かれてしまって・・・」
こうなると話しがどんどん横道にズレていってしまうのが、いつものパターン。
梨子「そう・・・明日も暑くなりそうでやだな」
5:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:22:47.29 ID:wRyqj+s4O
梨子「翼があったら、よっちゃんは何がしたい?」
善子「そうねぇ・・・」
顔を上げてから、顎に手を当てて、よっちゃんはシンキングタイムに入ります。
6:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:25:11.09 ID:wRyqj+s4O
よっちゃんのその言葉で、有名なロックバンドの曲の歌詞にこんな一節があったのを思い出します。
『僕らは空を飛べないカタチ。ダラダラ歩くカタチ』
確かに私たちはあのカモメと違って、自由に空を飛ぶことは出来ません。
7:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:26:53.95 ID:wRyqj+s4O
まずはその美しい翼を自慢げに見せてくれて。
それから、思う存分、空を自由に飛び回って。
その喜びを誇らしげに話してくれて。
8:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:28:37.09 ID:wRyqj+s4O
翼を持ったよっちゃんはそのうちに、新しい世界に魅かれて。
退屈な日常から・・・私達の場所から離れて行ってしまうと思います。
普通の世界から飛び立って。
9:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:30:59.48 ID:wRyqj+s4O
善子「どうしたのリリー? 怖い顔になってるけど?」
よっちゃんの声で私は我に返りました。
梨子「ごめん。ちょっと、考え事してただけ」
10:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:33:03.02 ID:wRyqj+s4O
実を言うと、少し前までは私も翼が欲しいと考えていた時がありました。
翼があったら嫌なことからすぐに逃げ出せるのに。
慣れない土地に転校しても何かあったらすぐに戻れるのに、と。
11:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:35:01.48 ID:wRyqj+s4O
梨子「翼が無くても、絵を描く事やピアノを弾く事。みんなでスクールアイドルをする事は出来るから」
人間はカモメみたいに自由に空は飛べません。
けれど、ひらめきと勇気をカタチにして、月までロケットを飛ばす事は出来ました。
12:名無しNIPPER[saga sage]
2016/07/26(火) 14:37:05.87 ID:wRyqj+s4O
梨子「それに私はこの両手の方が好きだよ」
私は不意打ちでよっちゃんの小さな手のひらを取ります。
よっちゃんがどこかに飛び立って行かないように。
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