3: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/26(火) 23:35:39.43 ID:BS+DXwC20
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私が《アイドル》という職業に就いて一か月。時間は驚くほど緩慢に進んでいた。
毎日、発声練習やダンスレッスンの繰り返し。指示されたとおりに動いてみると、他の少女達は、すごい、と私を褒め称えた。
のあ「……こんなの、ただ誰かの真似をしているだけ」
休憩時間、私は壁に背を預けてそう独りごつ。
事務員「それが簡単なことじゃないから、みんな驚いているんですよ」
随分と派手な色の制服を着た事務員が、私にスポーツドリンクを差し出しながらそう笑った。
ひとのよさそうなその笑顔を拒むように、私はすっと目を逸らす。
ちひろ「七月に入って暑くなってきていますから、水分補給は忘れないでくださいね。ところで……わたしの名前、覚えてくれていますか?」
のあ「……千川、ちひろ」
彼女はなぜか私の隣に腰を下ろして、ふっと会釈をした。
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