109: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/17(水) 10:57:44.90 ID:90KdAnqB0
誰もいない休憩スペースの、窓際のソファに隣り合って腰を下ろす。
窓の外には夕焼けが広がっていた。
紅く照らされた速水さんは儚げで、今にも消え入りそうな気がして不安になる。感傷的になっているのかもしれない。
「色々話をしたいことはあるけれど、まずはごめん。カフェでの言葉は撤回するよ」
「……どういう風の吹き回し?」
「みんなに考えすぎだって諭された。実際、そのとおりだったらしい。速水さんと会えなくなってからどうにも調子が悪いんだ」
「ふふ、なにそれ。プロデューサーさん、私に夢中じゃない」
「なんだ、知らなかったの? 俺はとっくに魅了されてるんだよ」
「そう……ふうん、でも、どうしようかなぁ。私は傷ついたなぁ」
悪戯っぽく微笑む速水さん。なかなかどうして大人びていて色っぽい。この表情には敵わないよ、本当に。
降参と両手を挙げる。
「お姫様はなにをご所望でありますか」
「そうね……せめて素敵なプレゼントが欲しいかな。プロデューサーさんから貰えるモノの中でも、最高のモノをね。……目、閉じてるから」
気を迷わせれば吸い込まれそうになる。ぐっと堪えてジャケットの裏ポケットから代物を取り出す。もちろん、指輪ではないけれど。
「誕生日おめでとう。目を開けて」
素直に目を開けてくれた速水さんに、プレゼントを手渡す。少しだけ不満そうに見えたのは気のせいだろう。
「キスは無理だけど、きっと速水さんに似合うと思うんだ。開けてみて」
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