123: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/17(水) 12:04:30.95 ID:90KdAnqB0
「その背伸びを止めたときが大人への第一歩だな。等身大でいいんだよ。特に奏みたいに魅力的ならなおさら」
「どうかしら。私はプロデューサーさんが思うほど、魅力ないかもしれないよ?」
「奏が思う以上に魅力的に見えるよ。たぶん、そんなものだろう。自分一人じゃわからないことは色々あるんだよ」
今回、俺はたくさんの人から助言をもらった。きっとみんながいなければ今はないはずだ。
奏は月を眺めながら微笑む。その横顔はとても大人っぽかった。
「そうかもね。私は届かないと思ってた。手を伸ばすだけでいいのにね。それを気づかせてくれたのはプロデューサーさんよ」
「俺だってそうさ。たくさん気づかせてもらったよ」
「……プロデューサーさんはどうするの? 結果、出たのよね」
「ああ、今日の昼頃ね」
今日の昼前に報せを受けた。大方の予想通り、俺は仮免プロデューサーから、真の意味でプロデューサーへとなった。
「ここで辞めるなんて駄作もいいとこだろ。続けるよ、奏と一緒にね」
「ふふっ、嬉しいわ。……ねぇ、ご褒美のキスが欲しいな」
こちらを向いた奏は可愛らしく首を傾げた。ずるいと思う。
「キスしたらそれはエンディングだろう。まだ始まったばかりなんだ。終わらせるには早いよ」
「上手いこと言うものね。もし映画なら、今はまだラストシーンじゃない。そのとおりだわ」
「そろそろ戻ろうか。邪推されても面倒だし」
立ち上がって手を差し伸べる。
なにかを間違えていると思う。
でも、酔っ払っているせいだろうか。奏の笑顔を前にして、どうでもよくなってしまった。
奏は俺の手を取った。
まあ、間違えていてもいいのだろう。
130Res/131.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。