22: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/29(金) 02:23:08.80 ID:uqaGoxoH0
それに、努力しても評価されない。だから、わからなくなってしまったのだろうか。そうだとしたら、それは悲しい話だと思う。
「難儀な話ですね……、ありがとうございます。参考にします」
速水さんのダンスは終わる。本人はどこか不満げに見えたけれど、視線が合うと口元を緩めてくれた。
こちらに歩んできた速水さんは、
「どうだった?」
悪意的な笑みを浮かべて感想を求めてくる。試されているのかもしれない。
「悪くはなかった」
「よくもなかった?」
「まあ、端的に言って魅力は感じなかったかな」
「……そう」
少しだけ悲しそうに目を伏せる速水さん。残酷だとは思う。しかし、言わないわけにいかない。
言葉を隠すのは不誠実だ。
「ちょっとプロデューサーさん、もう少し言い方があるでしょ!」
トレーナーさんは糾弾するように言った。優しい人だ、おかげで俺は役割に集中できる。
「いいの、私自身わかっていたから。ちゃんと言ってくれて嬉しいよ」
「奏ちゃん……」
しんみりとした空気が漂い始めていた。それを払い退けるため、俺は笑顔を作る。
「まあ、速水さんはあまり深刻に捉えなくていいよ。魅力を引き出せないのはプロデューサーの責任であって、速水さんに非はない。むしろ不甲斐ない俺たちに愛想を尽かさず努力を続けてくれたんだ。感謝こそすれ責める気なんて毛頭ないよ」
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