過去ログ - モバP「速水奏の輝かせ方」
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27: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/30(土) 02:32:33.72 ID:9se+2GXe0
 命題、アイドルとはなにか。

 原義を辿れば偶像となるが、偶像にしたって千差万別。究極的には人の数だけ存在する。

 だから、俺たちは考えなくてはならない。

 アイドル、速水奏はどこに向かうのかを。

「たぶん、速水さんに必要なのはアイドルの定義だな」

 レッスン後、俺は速水さんを近場のカフェへ連れ出した。

 本当は敷地内にあるカフェテラスでもよかったのだが、外に出たほうが気晴らしにもなっていいだろうと考えたからだ。

 ミルクティーの入ったカップを持った速水さんは、不思議そうに首をかしげる。

「定義?」

「そう、速水さんにとってアイドルとはなにか。喩えばお金を稼ぐ道具でもいいし、承認欲求を満たす手段でもいい」

「……喩えが随分と悪意的ね」

 そう感じるのはなにかしらのアイドル像を持っているからか。無自覚なのかもしれないけれど。

「まあ、他にもファンに幸せを届けるとか自分が楽しむでもいいけど。要はさ、アイドルという職業を、漠然とでもいいから形付けて欲しいんだよ」

「今の私は具体性に欠けるということ? ……まあ、たしかに訊かれても答えられないしね」

「往々にしてそんなものだと思うけどね」

 俺だってプロデューサーがどういうものなのか理解していないし。この先続けていくのかだって未定だ。

「でも、人気のあるアイドルはやっぱり自分なりの形を持っていると思う。だから、どうしてアイドルを続けていくのか、なんのために努力するのか。その辺りも含めて考えてほしい」

 高校生には難しい話だろう。しかし、この業界で生き残っていくには必ずぶつかる問題でもあるはずだ。

 今はまだ答られなくてもいい。ただ、定例ライブまでには見つけてほしいところだった。

 そして、それは俺も同じといえる。

 速水さんはうーんと唸って考え込んでしまった。ミステリアスさに拍車がかかる。その姿は絵画のモデルになれそうだった。


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