42: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/31(日) 22:17:24.02 ID:Cp5Q/xwsO
「先輩、今日はありがとうございました」
宮本さんの着替えを廊下で待つ間、後輩のプロデューサーは律儀にお辞儀をしてくれる。しっかり四十五度の几帳面すぎるお辞儀だった。
頼んだのはこちらなのだ。こうも感謝されると居心地が悪い。
俺より二年遅れで入社してきた後輩は五歳年下である。歳の差と書類全般の書き方を指導したこともあってか、萎縮するほどに尊敬されていた。
「いや、こちこそありがとう。プロデューサーとしては俺が後輩だよ、敬語使おうかな」
「や、やめてください。わたしにとって先輩は先輩なのです」
「そう? ならこのままでいいや。それにしても大盛況だったな。報告書でしか見てきてないけど、ここまで人が入ったってのは聞いたことがないよ」
平均は大体速水さんと同じぐらいだろうか。少ないと十人を下回る場合もある。
認知されていないのだ。一時間のイベントで三十人も来れば上出来である。
だからこそ、宮本さんの握手会は異例だった。なんと一時間に六十人以上と握手したのだ。単純計算で一分に一人前後訪れていた計算になる。
「私のときは十人前後だったの。凛や加蓮たちも似たり寄ったりだったみたいだし……ほんとフレちゃんの握手会は快挙だわ」
「はい、わたしもすごいと思います……」
「どうした? 随分と浮かない顔してるけど。もっと誇っていいと思うよ」
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