過去ログ - モバP「速水奏の輝かせ方」
1- 20
6: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:05:16.69 ID:pU98D89e0
「……でも、忙しくもなるんでしょう」

「まあな、それはそうだろうよ。ただ相応の評価はされるし、場合によっちゃ臨時ボーナスも出るんだぜ」

「…………」

「もちろん、無理にとは言わない。やっぱり激務にはなるからな。ただし、お前には悪いけどこの話はここで決めてもらわないといけない」

「えっ、今ですか」

 先輩は深々と頷く。むちゃくちゃだ。こんな大切なことをすぐに決めなくてはならないなんて。

「ああ、とにかく時間がないんだよ。あくまで今回は特例なんだ。他にも候補がいてな、お前が駄目なら次の奴に当たる。頼み込んでお前を優先してもらったけど、私にできるのはここまでだ」

 機会はもうこない。そう考えると逃すには大きすぎる魚な気がする。それに、いざとなれば辞めるのも手だろう。先輩には悪いけど、元々このプロダクションに骨を埋める気はなかったのだから。

 無責任な思考は気を軽くしてくれる。

「……わかりました。引き受けます」

「それは重畳だ」

 先輩は嬉しそうに微笑んだ。悪意的な笑みだった。

 俺は失念していた。先輩にはサークル時代から何度も騙されてきたことを。よくよく考えてみれば、先輩の言葉は詐欺師の手口そのものだ。

 やられた。そう内心後悔しつつ、俺はプロデューサーへと栄転したのだった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
130Res/131.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice