過去ログ - 誰かが戻した時間 〜タイムリープ・オブ・アザーズ〜
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2:名無しNIPPER
2016/07/31(日) 06:38:40.70 ID:YOldDrf80
第1話 変わる時間

 妻が消えた。仕事が消えた。
 それはほんの数時間前まで、掴んでいたものだったのに。

「幸せにしてね、奏多(かなた)」
「勿論だよ、雛子(ひなこ)」

 そうやって、結婚式場への一歩を踏み出した時。気づいたら僕は、1人暮らしのアパートにいたんだ。
 
「……は?」

 とにかく雛子へ連絡した。だが、雛子が僕の事は知らないと言った後、違う男が出た。雛子の夫だという。
 会社の課長にも連絡した。しかし、僕のことは知らなかった。
 スマホでさえ、それらの番号は記録されていなかった。雛子の番号、教えてもらったことが嬉しくて、ずっと覚えている。会社の番号は、ネットで調べた。
どちらも正しくかかったということは、僕の記憶は確かで、ネットも正常に作用しているということ……。

 そのネット。いつか見たニュース記事がいくつも並ぶ。画面の下には、今日の日付。僕と雛子が結婚式を挙げた日の、1週間前。6月5日12時のものだった。

 時間が……戻ってる……?

 夢かと思ったが、夢は夢だと気づいたら覚めることが多い。それはないようだ。
 そして、1週間戻っただけじゃない。

 雛子とのこと、会社に勤めたこと。それらが、消えた。

 雛子と大学時代に出会ってから3年、いわゆる逆玉という奴で結婚することになった。僕が入った会社は、雛子の父が経営している大企業。
 僕の記憶は、雛子の体温だって覚えてるのに。
雛子も、課長も僕のことを知らず、スマホにも僕が撮った写真はない。これまでのことは全て嘘だったのか……? 

ありえない……あるはずがない!

 映画やアニメ、マンガ。それらで見ることが多い、タイムリープってやつ。そんなものに、僕が巻き込まれたとでも言うのか? タイムリープなんてものを聞いてわくわくしないかと言われれば嘘になるが、それはあくまで御伽話の中だからだ!
 
 僕は何もしてない……。僕じゃない誰かが、タイムリープをしている……!

「僕の時間、返してもらう!」


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