過去ログ - 姫川友紀「あたしはマウンドに立ちたいだけ」橘ありす「アイドルに興味はありません」
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20: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:14:52.50 ID:p+8xgFFU0
彼女は、おそらく野球のプレイヤーとして優秀だったのだと思う

野球とダンスという全く異なる運動に跨る剥離感覚を乗り越え、身体を自分の思い通りに動かすレベルに達し始めているのだろう



21: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:15:26.08 ID:p+8xgFFU0
彼女は、トン、と前方に大きく飛び、そこで足を止めた

……驚くべきことに、彼女は息切れ一つしていなかった。私が彼女を観察していた時間は、決して短くはなかったのに

扉に嵌められたガラスの向こうに映る彼女を見て、私はレッスンルームの入り口で呆然と立ち尽くすことしかできなかった


22: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:16:58.46 ID:p+8xgFFU0
「……ん、誰?」

バサリ、と長い髪が翻り、彼女がこちらを向いた。私は扉を開け、適当に挨拶をした

「……おはようございます」
以下略



23: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:18:29.02 ID:p+8xgFFU0
「……姫川さん、あの……」

「ん?」

「いえ……少しお聞きしたいことがあります。ほぼ初対面の人には失礼かもしれませんが……」
以下略



24: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:19:33.47 ID:p+8xgFFU0
「自己紹介の時に、言っていましたよね。マウンドに立つのが目標って。あれは……」

「うん。始球式でね」

「……姫川さんは、本当に始球式に出たいんですか?そのためだけに、本当にその目的のためにアイドルになりたいんですか?」
以下略



25: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:20:09.33 ID:p+8xgFFU0
こんな人が……

本当に、こんな考えを持つ人が……そんなことのために、アイドルを志した人が……


以下略



26: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:20:54.21 ID:p+8xgFFU0
「でも、そこに可能性が残されているって、凄いことだって。橘ちゃんは、そう思わない?」

「……?」

「だってさ」


27: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:22:07.40 ID:p+8xgFFU0
「あたしがプロ野球選手になること……ううん、違うな」

彼女は、過去を懐かしむかのような、優しい表情を浮かべていた。そこには、何か大きな『挫折』が含まれている。そんな気がした


28: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:22:35.89 ID:p+8xgFFU0
「あたしがキャッツに入団することよりも、アイドルになることの方がよっぽど簡単でしょ?」

ポツリと独り言のようにその言葉が発された



29: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:24:20.63 ID:p+8xgFFU0
衝撃だった

こんな価値観の人間が、存在するのかと

彼女にはある種の狂気的な背景が感じられる
以下略



30: ◆wsSSA88MXU[saga]
2016/08/01(月) 20:26:24.48 ID:p+8xgFFU0
彼女に比べて私の悩みなど、なんと子供じみたことだろうか

小さなことだろうか、ささやかなことだろうか

……克服できないことだろうか
以下略



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