過去ログ - 渋谷凛「メインヒロイン」 -SS速報VIP

過去ログ - 渋谷凛「メインヒロイン」

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31:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:02:14.59 ID:ZjvmeNVX0
「海でも見に行くか」

　気づいたらそんなことを僕は言っていた。
　全く想像していなかった言葉が僕の口からでたことに、凛は大きな目を白黒させた。

以下略

32:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:05:53.20 ID:ZjvmeNVX0
　夜にドライブなんていつもなら眠くなるだけだったが、今日の僕の頭は冴えていた。

　ここから近場の海まで、最低でも一時間はかかるとナビに言われたときは、
　明日の仕事のことが頭に浮かんだが、すぐにかき消した。やはり僕の頭は冴えている。

以下略

33:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:07:30.10 ID:ZjvmeNVX0
「まぁ行く機会なんてないわな」
「……」

　凛の視線が僕から離れるのを確認してから、僕はアクセルを強く踏み込んだ。
　　

以下略

34:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:09:58.38 ID:ZjvmeNVX0
　深い藍色の中に、月を閉じ込め、鎌倉の海は光っていた。

「蒼くて。きれい」

以下略

35:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:13:59.25 ID:ZjvmeNVX0
「水冷たくて、きもちいい」

　ズボンの裾をまくり、星空のような海の上を凛は歩いていく。
　追いついた僕は、水遊びしている凛の姿を眺めた。

以下略

36:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:15:32.29 ID:ZjvmeNVX0
　夜の海が凛を輝かせていた。

　海の潮騒が音響のように、凛を際立たせていた。
　夜の帳が暗幕のように、凛を浮かびあがらせていた。
　月の光が照明のように、凛を照らしていた。

以下略

37:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:16:45.42 ID:ZjvmeNVX0
　それははっきりと鮮明に浮びあがった。

　新宿の街、喫茶店、レッスン場、ステージ、船の上、夜の海、
　
　僕の、どの光景の中にも凛がいて、どの光景の中でも凛が一番輝いていた。

以下略

38:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:18:46.42 ID:ZjvmeNVX0
「凛」
「なに」
　
　凛は水遊びをやめ、僕の方へと振り返った。

以下略

39:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:20:54.66 ID:ZjvmeNVX0
「俺はずっと凛を見てきた。目標に向かって走り続ける凛を。ステージで歌う凛の姿を。
　どの凛も俺にはすごく眩しく見える。どの凛も俺にはすごく輝いて見える。
　俺はこれからもそんな凛の姿をずっと見続けていたい。
　一人のプロデューサーとして。一人の凛のファンとして」

以下略

40:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:22:21.24 ID:ZjvmeNVX0
「でも、まぁ悪くないかな。帰ろうか。元気出たし」　

　夜の海を背にして、凛はゆっくりと砂浜を歩き始めた。
　
　その後ろ姿がまるで映画に出てくるヒロインのようで、僕はまた凛に見惚れてしまう。

以下略

41:名無しNIPPER[saga]
2016/08/06(土) 00:22:48.95 ID:ZjvmeNVX0

　おしまい

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