過去ログ - 加蓮「夢から覚めた夢」
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14: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/08/06(土) 18:13:04.95 ID:BU27iTTVO




ピピピピピッ、ピピピピピッ


はぁ…また病室ライフか…


目が覚めた私の思考は、既に今日の夜に向けられていた。
またあの夢の続きを見る事が出来れば。
いっその事、ずっと夢の中に居る事が出来れば…


あれ?


ふと気づく。
周りの景色が、寝付いた時と変わっていない事に。
窓からは朝陽が差し込んでいるし、部屋の椅子には昨日放り投げたカーディガンが掛かっている。


…まさか!
一気に思考を覚まし、そして理解した。


私、戻って無い!


私の幸せは有頂天だった。
叫びたくなるくらいには良い気分だった。
もしかしたら叫んでいたかもしれない。
最高の気分で早めに事務所に着き、プロデューサーとニヤニヤしながら二人を待った。


「おめでとう!CDデビューだぞ!」


そう告げられた奈緒と凛は一瞬固まっていた。
そうなるだろうと予測していた私が凛の珍しい表情を撮ったシャッター音で、二人とも一気に時を取り戻す。
そのあとは少しだけ打ち合わせをして、三人で駅前のパフェを囲んだ。
もちろんプロデューサーのおごりで。


その日はとても早かった。
ついでに三人の口調も早かった。
相当テンションが上がってたんだと思う。
奈緒も、弄られてもその事にまったく気付いて気付いていなかったし。


帰り道も、私はずっと笑顔だった。
昨日は秘密にしておいたけど、今日ははやく親に教えてあげたい。
どんな表情をしてくれるかな。
喜んで貰えるよね。


家の扉を開けて開口一番ただいますら投げ捨てて伝えてみた。
夕飯のおかずの種類が三倍に増えたのはさておき、物凄く喜んでくれた。
お母さんから知らせを受けたお父さんは、大量のお土産を両手にぶら下げて家の扉を開けられなくなった。
ずっと、みんな笑顔だった。


…幸せだなぁ…


明日は何をしよう。
クラスの友達に教えてあげようか。
他の二人も今頃親に伝えてるかな。
プロデューサーも、きっと凄く喜んでるだろうな。


目覚ましのアラームをいつもより少し早くセットし、私は興奮冷めやらぬ脳と心を押さえつけて眼を閉じた。





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