過去ログ - 海辺の町と赤く染められた国
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196:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:29:56.67 ID:Yv50vCTj0
「でも、凄いよホントに」

奈緒の言葉に僕は口を閉ざした。
凄い…か。
お前の父親の方が凄い…僕はそう言いかけていた。

そもそも、僕が水泳を始めたのは奈緒の父親…津村秀樹に言われたのが始まりだった。
小四の時にどうしてもドルフィンブルーになりたかった僕が彼に相談すると「じゃあ、水泳を習え。彼は誰よりも泳ぐのが速いんだ」そう言われたからだ。
だが、泳げない僕は苦労した。小四なのに幼稚園以下の子供達と一緒のクラスのスタートだったからだ。
でも、泳ぎたい一心で…いやドルフィンブルーになりたい一心で頑張った。津村秀樹にもよく教えて貰った。
そのお陰で僕は少しずつ水泳教室のクラスを上げていったんだ。

そして、ある日僕は津村秀樹に言った。
「誰よりも速くなりたい」、と。
彼はその時に言ったんだ。
「じゃあ、いつか五十秒の壁を超えろ」ってね。
でも、正直あの時は、そう成れたら良いな、って感じにしか思っていなかった。
だけど、彼の死と彼が最後に僕に託した、彼の代わりに奈緒を守る、そして自分を信じろ…そう言われてから僕は変わったと思う。
本気で日本一を…そして五十秒の壁を破る…そう決めたんだ。
津村秀樹を越えないと僕は彼の代わりに奈緒を守る事が出来ない…そう思ったからだ。
だけど…去年、僕のそれは打ち砕かれた…そう思う。


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