過去ログ - 勇者「ほう、貴様が魔王か…よくぞ我が元へと辿り着いた。」
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◆x.6zTnwIjo
[saga]
2016/08/08(月) 01:05:43.64 ID:rw4Oc28xO
魔王兄妹の強大で兄妹な魔力により燃え盛る炎は、大きな病院を丸ごと包み込む大規模な火事へと発展した。
消火に駆け付けた街の自警団や、野次馬目的の近隣住民などによって、瞬く間にできあがる人集り。
所狭しと肩を寄せ合うその集合体は、まるで巨大な1つの生き物かのような錯覚すら見る者に与える。
その喧騒は三日三晩止む事はなく、振る舞われる酒と豪勢な食事…そして歌と踊りに皆が時を忘れて酔いしれた。
この宴に終わってほしくない…口にはしなかったが、誰もが同じ想いを抱いていた。
あえて口にしなかったのは、実際に言葉にすると、きっと宴の終わりをより意識してしまいそうで憚られたから。
手を取り合う老若男女…そこには魔族と人間という種族の壁すらもない。
もはや火を囲んで踊る事に理由なんていらなかった。
人は思い出していた…ただ魔族を恐れるばかりではなく、時には理解しようという勇気も必要である事を。
魔族もまた思い出していた…人を力で支配するのではなく、その存在を許し認め合う共存の道がある事を。
かくして、人と魔族は争いを止め同じ道を歩む事を決意したのであった。
それはかつて勇者が望んだ、平和の楽園の実現への第一歩。
後にこの動きのきっかけとなった火事により死亡した病院関係者達の墓が建てられ、その地は平和の丘と呼ばれるようになる。
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