過去ログ - 「喧々囂々、全てを呑み込むこの街で」
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24: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2016/08/12(金) 15:46:22.04 ID:Xo9GuVjR0
(機動力があって、水のレーザーで離れても戦える……割と威力が高いな。壁を貫通してやがる)

尾を引きちぎってから、炎で決めるか。男は素早く決断すると、キメラに向かって巨大な炎の矢を撃ちました。ウィルオウィスプでは威力不足と考えたようです。

しかし、キメラの様子が変です。筋肉がめりめりと不規則に膨らみ、小刻みに痙攣しています。

よく分からんが、チャンスだ――男は強化魔法を使い、身体能力を底上げします。

しかし、次の瞬間、先ほどとは段違いの速度で、キメラの右腕が振るわれました。

「うっおっ……!?」

再び鈍い音が鳴り響きます。両腕でガードした男ですが、それでもダメージは軽いものではありませんでした。

男の炎魔法の矢を回避し、瞬時に動きを詰める。どう考えても先ほどとは違います。

強化した腕でガードした両腕が、今もびりびりと痺れているのが、その証拠でした。

(こいつ……俺の動きに合わせて「進化」しやがった!?)

「ヴルルルル!」

「チッ……まだ完全体になるには早いんだよ。お前に魔力を割いてる暇はねえ」

ただ、この姿じゃ本気を出さねえと勝てないようだ。戦いが長引くと厄介な事になる。

男は肩を鳴らし、火属性の魔力を拳に集中させました。拳が真っ赤に染まります。

(……? 誰かいるのか?)

より勢いを増した水のレーザーが男に襲いかかります。男はそれを上回る速さで回避し、距離を詰めます。

ドラゴンの口から雷のブレスが放たれますが、男はそれも回避します。

突如、ヤギの頭が口を開き、大きな鳴き声を上げました。

「メエェエェエエッ〜!!」

(ぐっ……何だこの汚い声は!!)

その粘っこい不愉快な鳴き声に、たまらず男は怯んでしまいます。

動きが止まったその隙を狙い、キメラは地面を砕きながら飛び掛かりました。

しかし、男はその重厚な爪を紙一重に引き付けて回避し――腹に強烈な拳を叩き込みます。

高熱の拳がキメラを貫通し、そのまま内部から二つに引き裂きました。

ズシンとキメラの身体が地面に落ちます。

(なかなか強かったな……最初から本気で戦ってたら、「進化」で厄介な事になってた)

「しかし――!!」

背後の殺気を感じた男は、飛んできたレーザーを跳躍して回避しました。

「おいおい、まだ生きてんのかよ……なんて生命力だ」

まだ動こうとするそれを、男は炎魔法で焼き尽くします。ヂウウゥウッと肉の焦げる音が漂い、ついにキメラは動かなくなりました。

「……そこか」

男は振り向きもせずに、ウィルオウィスプをぶつけます。

その先には、魔力で作られた目玉のようなものがありました。どうやら、戦闘中に感じた視線は、それのようですね。

爆発と共に、それはあっけなく消え失せました。

「……ったく、あのガキ共は何がしてえんだ」

やけに俺に突っかかってきやがる。何故――

男はそこで、本能的に身構えました。


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