過去ログ - 「喧々囂々、全てを呑み込むこの街で」
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◆XkFHc6ejAk
[saga]
2016/08/14(日) 16:23:11.46 ID:1MPDMi340
男はそれを注意深く観察していましたが、口元が光ったのを見た瞬間、身体に電流が走りました。
(――いや!! 違う!? やばい!? 死――)
男は思考もままならぬまま、「霧の怪物」の直線上から跳躍して回避します。
――ボッ!!
次の瞬間、その直線上を超極太のエネルギーが通り去り、全てを消し飛ばしてしまいました。
あまりに一瞬の事だったので、男は呆然としてしまいます。
「……考えてみりゃ、あんなでかい口から出てくるのが、触手だけな訳ねえか」
しかし、あの高密度エネルギー砲は、連発は出来ないようです。身体の負担も大きいらしく、「霧の怪物」は進行を止めていました。
ジジイほどの威力じゃねえ。気を付けてりゃ避けれる。男は相手を睨みます。
「まぁ、何にせよ今がチャンスだ」
(ジジイと同じなら、吸い込んだ魔力を自分のものにしてるかもしれねえ)
魔法は使うべきではないと判断し、男は再び瓦礫を投げます。
新しく生えてきた触手がそれを貫き、細切れにしてしまいますが、男は想定済みだと言わんばかりに特攻をしかけました。
魔法紙から剣を二本取り出し、両手に握ります。そのまま炎を灯し、炎の刃を形成しました。
勿論これには何の特殊効果もついていません。すぐに使い物にならなくなってしまうでしょう。
「さァ、遊ぼうぜ!!」
男は襲いかかる触手を強引に斬り伏せながら、距離を詰めていきます。
動きは我流――と言うよりも、素人同然ですが、持ち前のパワーとスピードで、それを補っています。
「オオオォオォオォオォ……」
「霧の怪物」の触手は、すでに生え揃ったようです。何本もの触手が、四方八方から男に飛び掛かります。
男はそれを片っ端から斬り伏せますが、さすがに体力の消費も大きいようです。
(だが、距離はかなり縮まってきた……後少しだ!)
男は自分を鼓舞すると、さらに炎の刃を巨大化させます。
汗が顎を伝ってぽたりと落ちたその瞬間。
男の足元が、もこりと膨れ上がりました。
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