過去ログ - 「喧々囂々、全てを呑み込むこの街で」
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33: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2016/08/14(日) 16:54:34.37 ID:1MPDMi340
男の後ろを歩いてきたのは、長い白髪を持つ青年です。いえ、この人物は――

「まさか――ジジイか!?」

「ひっひっひ……ワシじゃよ」

道理で占い師が探しても見つからないはずです。老人は何らかの方法で若返っていました。

しかし、言葉遣いは変わっていないので、何やら変な感じがしますねぇ。

「して、この奴さんは一体……」

「……こいつはよく分からん。触れたら呪われるが、俺の炎は吸収しやがる」

「お前さん、こんな奴に挑んだのかい。力量差も考えられんようじゃ、まだまだヒヨッ子じゃのぉ」

回復魔法で男の致命傷を治した老人は、結界で守ると同時に口を大きく開きました。

いえ、それは開くなんてものでは御座いません。顎が外れてもなお、強引にこじ開けます。

老人の口から、真っ黒な脚が飛び出しました。

次の瞬間、「本体」がぬるりと老人の口から姿を現せました。老人(今は青年ですが)の身体は皮だけになり、力なく地面に崩れ落ちます。

黒い大きな腹、巨大な四枚の羽根の一つには髑髏の模様があり、ぎょろりと覗く赤い目玉。

「ヒッヒッヒ……」

あれが「蠅の王」ベルゼブブの姿で御座います。ワタクシもあまり見た事が御座いません。

ベルゼブブが姿を現すと同時に、魔力で作られた無数の蠅が辺りを飛び交います。

それを見た「霧の怪物」は野太い咆哮を上げ、さらに勢いを増して触手を伸ばします。


「ヒヒッ……久しぶりに暴れようか」


老人は羽根を凄まじい速度で羽ばたかせました。

烈風が「霧の怪物」を襲いますが、それだけに留まりません。

羽根を羽ばたかせる速度はさらに上がり、超速振動による衝撃と音波が発生しました。

それは、さらに威力を増していきます。

(あのジジイ……うおぉおおぉおぉ!!)

凄まじい衝撃が結界に広がります! びりびりと震える結界は、今にも割れそうです。

まるで嵐が通ったよう。老人の奏でる破壊の音は、男達が居る地区を丸ごと更地にしてしまいました。

「無茶苦茶しやがる……あのジジイ」

結界が解け、男はクリアになった景色を見ます。改めて、とんでもない破壊力であると実感させられました。

しかも、老人は本来の力を発揮していません。これはほんの力の一部なのです。

「そうだ、奴は」

「オ オォオォ ォ」

「霧の怪物」は倒れていました。

しかし、立ち上る死の瘴気は、まだ消えてはいません。

老人は無数の蠅を向かわせました。蠅一つ一つに「厄病」などの効果があり、触れるだけでも様々な状態異常になってしまいます。

「……ぬ?」

「霧の怪物」の身体が、どくんと胎動しました。


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