過去ログ - 「喧々囂々、全てを呑み込むこの街で」
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6: ◆XkFHc6ejAk[saga ]
2016/08/11(木) 22:38:30.42 ID:Pkizwuk+0
「このジジイを探して欲しいんだ。金はこれで足りるか?」

「――オーケー……では……開始する……」

男はとある占い師の場所を訪れていました。探し物がよく当たると評判の所です。

男は老人の(憎たらしい笑顔の)写真と金を渡し、どかりと椅子に座りました。

占い師は目を閉じ、額の第三の目を開眼しました。この目は「イサクラ」のほぼ全てを見渡す事が出来ます。

しかし、誰も地下を見ようとはしません。見た者は皆発狂して死んでしまったからです。ワタクシが何かした訳では御座いませんよ。

ただ、「イサクラ」本体の存在に気付いてしまうと、彼らの心が折れてしまうのです。人の心とはかくも儚いものでして。

「――居ない……この街には……見当たらない……」

集中が解け、息を切らしながら占い師は答えます。

「……そうか」

「――力になれず……申し訳ない……」

「いや、あんたの腕は信頼してる。居ないって事は、この世界には居ないんだろうよ」

男は礼を言い、店を後にしました。

老人が何処かに行っているのは、そう珍しくありません。いつも忘れかけた頃に、ひょっこり戻ってきます。

しかし、本当に今、老人はこの世界に居ないのでしょうか?

「……まさかな。あのジジイがやられる訳がねえ」

あのジジイを殺すのは俺だからな。男はそう呟くと、再び夜の街を歩き出しました。


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