過去ログ - 京太郎「鼓動する星 ヤタガラスのための狂詩曲」
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10: ◆hSU3iHKACOC4[sage saga]
2016/08/14(日) 02:38:27.23 ID:B82FWzEK0
 プロローグ


 夏休みの最終日天江衣の別館の前に染谷まこが立っていた、この時に彼女の身に降りかかった面倒事についての話から書いていく。

ことの始まりは朝八時にかかってきた電話だった。染谷まこの実家に龍門渕を名乗る女性から電話がかかってきた。電話を受けたのは染谷まこの母親だった。

接客業を営む染谷まこの実家である。朝八時となればすでに動き出す準備はできていた。そしてこの時間帯にかかってくる電話となれば、予約だとか注文のどちらかだった。

見逃すことはなかった。そして龍門渕からかかってきた電話を娘に取り次いだ。龍門渕からの電話だといって母親から受話器を渡された染谷まこは困っていた。

電話をかけてくるような関係ではないと思っていたのだ。そうして受話器から聞こえてきたのは龍門渕の別館に暮らしているという天江衣の声だった。かわいらしい声でこんなことを言っていた。

「大事な話がある。迎えをよこすからこっちに来てくれないか。許可ならおじい様にもらっているから大丈夫だ。

 なぁ染谷。私とお前の仲だ。頼むよ」

染谷まこは少しだまった。何か嫌な予感がした。そしてよく考えてから答えた。

「命の危険がないのなら話をきいちゃろう」

すると受話器の向こうで天江衣が喜んだ。そしてこういった。

「命の危険なんてあるわけないだろ? そんなことをしたら京太郎が激怒する。本当に大したことはない。
 
 来てくれる?」

すると染谷まこは苦笑いを浮かべながら答えた。

「ええじゃろう。向かえはいつ来る?」

染谷まこがうなずくと、天江衣がこう言った。

「もう家の前にいるはずだ。一番いい運転手だから、何が起きても龍門渕にたどり着けるぞ。

 それじゃあ、よろしく頼む。お茶とかお菓子はこっちで用意しておくから手ぶらで構わんぞ」

などといって天江衣は電話を切った。電話が切れた後染谷まこは自宅の前をこっそりとみてみた。すると自宅の前に黒塗りのベンツが止まっていた。

執事服を着て白い手袋をつけた運転手が運転席でスタンバイしている。幸い朝ごはんを食べ終わり身なりも整っている染谷まこである。それほど待たせずに済んだ。

そして龍門渕まで快適なドライブを楽しむことになった。

 龍門渕に到着したあと、染谷まこはメイドさんに導かれた、この時の染谷まこの様子について書いていく。それは龍門渕の車に乗り込んで数十分後、龍門渕に到着してからのことである。

「ディー」
と名乗る運転手さんに

「ちょっと待っててもらえる? 案内役がすぐに来るはずだから……ごめんね、呼び出したのに待たせるようなことをして。
 敷地が広いから迷子になる人が多いんだわ」

といって謝られていた。これに染谷まこが大したことではないと答えていると、黒塗りの車にメイドさんが駆け寄ってきた。

黒塗りの車に駆け寄ってくるメイドさんはきれいな女性だった。髪の毛がそれなりに長いが、これもまたきれいに手入れされていて、つやつやである。

ただ少し不機嫌だった。このメイドさんは染谷まこを見つけるとこういって挨拶をした。

「染谷様ですね。お待たせしました。

 ハチ子と申します。我が王に変わり精一杯務めさせていただきます」

一挙一動即が非常に洗練されていた。そんなメイド服を着たハチ子に染谷まこはあいさつで返した。簡単なあいさつで、

「染谷です。お邪魔します」

程度のものだった。しかし特に問題はなかった。挨拶が終わると染谷まことハチ子は別館に移動を始めた。

そうして別館に移動する間に五人組の少女に絡まれた。長い三つ編みの少女と、ポニーテールの少女、ツインテールの少女に、和装の少女、そしてショートカットの少女である。

皆顔がそっくりであったが、微妙に違っていて染谷まこは

「五つ子か?」

といって珍しがっていた。そんな染谷まこに五人組の少女がこう言っていた。

「これが染谷まこか……ふうん?

 普通の人間にしか見えないが……」



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