過去ログ - 京太郎「鼓動する星 ヤタガラスのための狂詩曲」
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22: ◆hSU3iHKACOC4[sage saga]
2016/08/14(日) 03:23:38.20 ID:B82FWzEK0

「京太郎もついて行け。龍門渕の姫、九頭竜の姫である天江衣は染谷まこに話がある。

 危害を加えるつもりはない」

須賀京太郎に話しかける天江衣は顎を上げて見下ろすような格好で話しかけていた。いかにも上司的な天江衣の対応は天江衣のプライドの問題である。

これを見て須賀京太郎は深呼吸をした。怒りを鎮める方向で動いた。天江衣の目がうるんでいるのに気付いたのだ。

そうして須賀京太郎と天江衣がやり合っている間に、清澄高校の面々は黙って席を立った。そして出口に向かって歩きだした。

その様子を見て須賀京太郎は小さく舌打ちをした。こういうイベントが入るのならば先に説明がほしかった。

 須賀京太郎がイラついていると清澄高校のバスを運転する運転手が制した、運転手の動きについて書いていく。

それは天江衣とアンヘルとソックのやり方にまったく納得していない須賀京太郎の目の色が変わり始めたところである。運転手が口をはさんだ。

席に座ったままで、こう言っていた。

「落ち着けって須賀ちゃん。龍門渕は染谷さんに確認したいことがあるんだ。衣ちゃんはお使いに来ているだけ。

 本当に大したことじゃない。帝都に到着すれば俺たちは自由に行動できない。だから時間に余裕がある移動時間に済ませておこうということになったんだ。

 少し前に話をしたが、外国のサマナーどもだ。

メシアとガイアはいつも通りうっとおしいが、星の智慧教団の一派が国内に入り込んだという情報が出発直後に入ってきてね、龍門渕は予定を前倒ししたんだよ。連絡が遅れて悪かった、許してくれ。

 後、透華のお嬢が呼んでいるのも本当のこと。始末書の書き方がなっていないとお怒りだった。みっちり教え込んでやるから楽しみにしておけとのことだ。

 納得したか?」

落ち着いた男性の声だった。そして力のこもった声だった。年長者の余裕と威厳があった。運転手が理屈を説明すると須賀京太郎の目から怒りの光が消えた。

理にかなった行為だと納得した。もともと説明が欲しかっただけの須賀京太郎である。理屈があるなら納得できた。

そして納得すると須賀京太郎は黙って席を立った。この時頭を抱えて震えている染谷まこを見た。須賀京太郎は心底申し訳なさそうな顔をした。

そしてアンヘルとソックにお願いをした。

「染谷先輩を丁重に扱って、丁重にだ」

するとアンヘルとソックは微笑みを浮かべて、うなずいた。それを見て天江衣たちのわきを通って須賀京太郎はバスから降りた。

龍門渕のバスに向かう部員たちの後を追ったのだ。置いて行かれた染谷まこは須賀京太郎の背中を見送っていた。涙目だった。

絶望感でいっぱいになっていた。そうしているとバスの出入り口が閉まった。乱入してきた三人の女性は席に着いた。

染谷まこを囲むように席に座っていた。三人が座るとバスが動き出した。東京に向かうためである。


 乱入者三名に乗っ取られた清澄高校のバスが動き出すと染谷まこに天江衣が話しかけていた、その時の様子を書いていく。

それはバスが動き出してすぐのこと。

景色が動き出すと、座席に座っていた天江衣が体勢を変えた。

今まではきちんと座っていたのだが、今はビーチサンダルを脱いで座席の上で寝転がるような状態である。

肘掛けに顎を乗せて、猫のように体をくねらせていた。そして肘掛の向こう隣の席にいる染谷まこを見つめていた。

この時の染谷まこは窓の外を見つめていた。まったく天江衣のことを見ようともしない。ただ覚悟の光があった。その時が来たのだと思っていた。

そんな染谷まこに天江衣がこんなことを言った。

「染谷は私のことが嫌いか? 染谷に嫌われるようなマネをした覚えがない」

肘掛けに顎を置いてだらけている天江衣だが、少しショックを受けていた。なぜここまで拒絶されるのかわからなかった。

そうしていると染谷まこの前の座席に座っているアンヘルがこう言った。少し笑っていた。



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