過去ログ - 子供「ツブアンおじさーん!」 ツブアンおじさん「おう」
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28:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/18(木) 19:22:03.61 ID:2QvdetSB0
ツブアンおじさん「ヤツとは意外と早く会うことができた」

子供「えっ?」

ツブアンおじさん「ある晩のことだ。俺は一人で公園のベンチでスコッチをちびちびと舐めていた。この公園だ。ベンチは……ほれ、そこの、あの木の下にあるベンチだ。月のない夜だった。なんとなしにあの木を見上げ、視線を戻した時、目の前にヤツが立っていた。黒い肌、特徴的な口元、爛々とした目。間違いねぇ、ヤツだ。ヤツが、よう、と一言。俺も、よう、と一言。ヤツが隣に腰掛ける。ヤツは安い服を着ていたが、決してみすぼらしくはなかった。むしろ、まるで上等なスーツを着ているようにも見えた。自分というものをちゃんと持っている人間は装飾がなくても煌びやかだ。ヤツがそうだ。俺は酷く羨ましかった」

ツブアンおじさん「お前を探していた。ヤツは言う、俺もだ。お前の鼻っ柱を叩き折ってやりたいと思っていたところだ。ヤツは言う、俺もだ。俺がスコッチを差し出す。お前の部下に困っている。ヤツは、みんな血の気が多いんだ、とひと口。瓶が返ってくる。お前は何処に行けば会える、とひと口。瓶を渡す。三日後に議事堂を爆破する、とひと口。瓶が返ってくる。そうか、と言うと、そうだ、と返ってきた。ヤツがマルボロをとりだして、俺に一本よこす。火をつけてもらい、煙を肺に入れ……フゥー……煙を肺に入れ、黙った。しばらく黙っていた。ヤツはニ、三回煙を吐き出すと、黙ったまま去っていった。俺も黙ったままその背中を見た」

子供「襲われなかったの?」

ツブアンおじさん「襲われなかったし、襲おうとも思わなかった。その時はな。変なもんだが、古い友人に再会したような気分だった。俺に友人なんていなかったのにな。何故だか、そう思った」




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